依存症(名称や診断基準は時代や学会によって変化します)

依存症はICDやDSMで定義されている病気です。自分の意志ではある行動がやめられなくなり他の優先すべき事よりも依存行動を優先してしまいます。結果としてこころも体もボロボロになり、症状が進行したまま放置すると刑務所や精神病院、そして最終的には死ぬかやめるかの2つの選択以外なくなることも珍しくありません。家族や友人からみて依存症に見えても、本人は「私は大丈夫、私はダルクに居る人程ひどくない。本気になればいつでもやめられる。」と思っていることは良くあることです。病気なので適切な治療が必要なのですが、当の本人が依存症であることを否定している間は治療が難しく、大切なものを全て失ってようやく気付く人もいます。

依存の種類(物質・プロセス・関係性)

分かりやすいように依存の種類を大きく3つ+その他に分けておきます。最近の海外の学会の翻訳では、行動障害、物質使用障害と呼ばれるようになっているようです。複数の依存対象を持つ方や、重複してほかの精神疾患を患っている場合もあります。複数の依存対象を持つ方や、重複してほかの精神疾患を患っている場合もあります。

物質への依存

:興味本位で始めたという方もいれば、子供の頃親に教わったとか、先輩に無理やり注射されたとか、薬物をやる理由は人それぞれです。自分では止められなくなり、健康や時間お金を犠牲にしてでも依存している物質を入手しようとします。
例:酒(アルコール)、覚せい剤、危険ドラッグ(脱法ドラッグ)、シンナー、ヘロイン、コカイン、MDMA、LSD、大麻、睡眠薬、鎮痛剤、精神安定剤、市販薬

プロセスへの依存

:夢中になると長時間に渡りそのことばかりしてしまい、仕事や学校に行かなくなったりします。またそのために大きな借金を作ってしまう場合も多くあります。脳のなかで起こっていることは薬物依存と同じだと聞きます。
例:ギャンブル、ゲーム、インターネット関連、スマートフォン

人への依存

:いびつな人間関係による依存で、相手との距離感がわからなくなり、支配したり束縛したりするものです。携帯やスマホによる際限のないつながりを求める場合もこの依存症です。
例:恋愛、カルト宗教、DV(ドメスティック・バイオレンス)、暴力、児童虐待など

その他(上記3つにあてはまるが、分類が難しいもの)

:摂食障害、買い物、仕事、セックス、自慰、自傷行為(リストカット等)、窃盗癖(クレプトマニア、プロセス依存と言われてます。)上記の依存は医療の分野では定義づけされているはずですが、日々研究が進み更新されて行きますので、ここでは簡単にこういった種類がある、という紹介程度に留めます。ダイエットや買い物仕事、セックス、自慰などは普通の行為ですが、その依存度が日常生活や社会生活等を破壊していくようになると話は別ですし、金銭的に裕福な人や傍からは成功者に見える人が窃盗癖を持っていることは良くあることです。

ここから先は、薬物依存症を中心に見ていきますが、依存の対象が違っても、依存症の背後にある問題は共通点が非常に多いです。
大きくとらえて見ると、依存症者はみんな、何かしらの生き辛さがあって、破壊的な行動を起こすに至る思考や行動の習慣を繰り返している状態と言えます。ゆえにダルクではこれまでとは違う生き方をするよう推奨します。慣れ親しんだ自分の生き方の習慣を変えることは短期間で出来ることでしょうか?。

依存症にともない生じる問題

依存症では以下の様にさまざまな問題が起きてくるため、行政や医療機関、精神保健福祉センターとの連携、信頼関係構築は必須、と言われています。依存から回復しても社会に戻っていくことが出来ないで孤立してしまうことは珍しくありません。

健康被害

薬物が脳に影響を与えると、脳が萎縮して記憶力障害や知能の低下が起きることがあります。モノによっては、心臓発作を引き起こし、死亡に至るものもあります。ヘロインとアルコールの併用で、寝ている時に嘔吐して呼吸困難で死亡することもあるそうです。また、注射針を使いまわして使用した際に、C型肝炎やHIVへの感染が起きることがあります。

覚せい剤の場合は長時間眠らずに行動してしまうので、長期間となると骨、軟骨、関節、筋肉、筋膜、じん帯、椎間板、神経に負担が掛かり痛めてしまうことは良くあることだと想像出来ます。

アルコールは有機溶剤ですので飲み過ぎると肝臓にも脳にも影響を与えるでしょう。病院で処方される薬や市販薬でも中には内臓に負担が掛かる薬もあります。

物質依存だけではないですが、依存行為をしているときに身に付いてしまった思考やものの見方、体の使い方等が習慣化されてしまい、依存をやめても体の不調が続くということはあり得る話です。

金銭や生活の貧窮

例えば覚せい剤等の薬物を買うためには多くのお金が必要です。薬物を使いながら仕事をすると、遅刻欠勤が増えたり、問題行動を起こすこともあります。次に職に付きにくくなる場合もあるでしょう。多くの借金を作ってしまったり、家族に養ってもらわないと生活ができなくなる事も多く、症状が進行すると働けなくなることは良くあることです。お金を得るために犯罪に手を染めるという話も良くある話です。
家族が子供可愛さに面倒を見てしまうと、子供はお金が続く限り薬物を使い続けるでしょうし、家族は財産を失うまでお金を使い続けるという不幸な事態となってしまいます。立場によって見方は変わりますが、親が良かれと思ってしたことで子供がますます追い込まれていくこともあります。

非行や犯罪

薬物に関わって刑務所に入っている受刑者は男性ではその数が2番目に多く、女性ではもっとも多いそうです。犯罪を犯しやすい環境にいたから薬物に関わったのか、薬物に関わったから犯罪を犯したのか、どちらが多いのでしょうか・・。最近ではインターネットの普及から若い人が性犯罪や薬物事件に巻き込まれることも多いと聞きます。どんな理由であっても使うのをやめたいという願望があるなら支援すべきだと考えます。

自殺

アルコールを含め薬物依存症者が自殺する確率が高いことは関連機関が行っている統計データで良く知られている所です。ダルクでは依存症者の特性として以下の様なことがあると言われています。

  1. 自分に自信が持てない、自己評価が異常に低い
  2. 人を信じられない、人が怖い
  3. 思っていることを人に伝えることが出来ない
  4. 自分を大切にできない
  5. 見捨てられ不安が強い
  6. 孤独、一人になりたがる

上記のような生きづらさがあるのに、薬物を使って体も心もボロボロになり、経済的に破綻し、家族関係や友人・恋人との関係も破壊してゆくのは珍しいことではありません。

家族関係・家庭環境の悪化

薬物依存症は家族を巻き込んでしまいます。その状況においてどのように対応するかで明暗が分かれることもありますので、心当たりのある方はまずはご相談ください。