依存症って(Dependence)

依存症は、ICD10や11・DSM4や5で定義されている病気であり、ある行動がやめられなくなり他の優先すべき事よりも依存行動を優先してしまう状態です。結果としてこころも体もボロボロになり、症状が進行したまま放置すると刑務所や精神病院、そして最終的には死ぬかやめるかの2つの選択以外なくなります。周りから見ると完全に依存症なのですが、本人は「私は大丈夫、私はダルクに居る人程狂ってはいない。本気になればいつでもやめられる。」と思っていることは良くあることです。病気なので適切な治療が必要なのですが、当の本人が依存症であることを否定している間は治療が難しく、大切なものを全て失ってようやく気付く人も多いです。

依存の種類(物質・プロセス・関係性)

分かりやすいように依存の種類を大きく3つ+その他に分けておきます。複数の依存対象を持つ方や、重複してほかの精神疾患を患っている場合もあります。

物質への依存

:興味本位で始めたという方もいれば、子供の頃親に教わったとか、先輩に無理やり注射されたとか、薬物をやる理由は人それぞれです。自分では止められなくなり、健康や時間お金を犠牲にしてでも依存している物質を入手しようとします。
例:酒(アルコール)、覚せい剤、危険ドラッグ(脱法ドラッグ)、シンナー、ヘロイン、コカイン、MDMA、LSD、大麻、睡眠薬、鎮痛剤、精神安定剤、市販薬

プロセスへの依存

:夢中になると長時間に渡りそのことばかりしてしまい、仕事や学校に行かなくなったりします。またそのために大きな借金を作ってしまう場合も多くあります。脳のなかで起こっていることは薬物依存と同じだと聞きます。
例:ギャンブル、ゲーム、インターネット関連、スマートフォン

人への依存

:いびつな人間関係による依存で、相手との距離感がわからなくなり、支配したり束縛したりするものです。携帯やスマホによる際限のないつながりを求める場合もこの依存症です。
例:恋愛、カルト宗教、DV(ドメスティック・バイオレンス)、暴力、児童虐待など

その他

:摂食障害、買い物、仕事、セックス、自慰行為、自傷行為(リストカット等)、窃盗癖(クレプトマニア)

ここから先は、薬物依存症を中心に見ていきます。

薬物依存症にともない生じる問題

薬物依存症では以下の様にさまざまな問題が起きてくるため、行政や医療機関、精神保健福祉機関との連携、信頼関係構築は必須、と言われています。

健康被害

薬物が脳に影響を与えると、脳が萎縮して記憶力障害や知能の低下が起きることがあります。モノによっては、心臓発作を引き起こし、死亡に至るものもあります。ヘロインとアルコールの併用で、寝ている時に嘔吐して呼吸困難で死亡することもあるそうです。また、注射針を使いまわして使用した際に、C型肝炎やHIVへの感染が起きることがあります。

覚せい剤の場合は長時間眠らずに行動してしまうので、長期間となると骨、軟骨、関節、筋肉、筋膜、じん帯、椎間板、神経に負担が掛かり痛めてしまうことは良くあることだと想像出来ます。

アルコールは有機溶剤ですので飲み過ぎると肝臓にも脳にも影響を与えるでしょう。病院で処方される薬や市販薬でも中には内臓に負担が掛かる薬もあります。

金銭や生活の貧窮

薬物を買うために多くのお金を使ってしまいます。使いながら仕事をすると、遅刻欠勤が増えたり、問題行動を起こすこともあります。次に職に付きにくくなる場合もあるでしょう。多くの借金を作ってしまったり、家族に養ってもらわないと生活ができなくなる事も多く、症状が進行すると働けなくなることは良くあることです。家族が子供可愛さに面倒を見てしまうと、子供はお金が続く限り薬物を使い続けるでしょうし、家族は財産を失うまでお金を使い続けるという不幸な事態となってしまいます。立場によって見方は変わりますが、親が良かれと思ってしたことで子供がますます追い込まれていくであろうことは想像に難くないです。

非行や犯罪

薬物に関わって刑務所に入っている受刑者は男性ではその数が2番目に多く、女性ではもっとも多いそうです。犯罪を犯しやすい環境にいたから薬物に関わったのか、薬物に関わったから犯罪を犯したのか、どちらが多いのでしょうか・・。最近ではインターネットの普及から若い人が性犯罪や薬物事件に巻き込まれることも多いと聞きます。個人的には、どんな理由であっても使うのをやめたいという願望があるなら支援すべきだと考えています。

自殺

アルコールを含め薬物依存症者が自殺する確率が高いことは関連機関が行っている統計データで良く知られている所です。ダルクでは依存症者の特性として以下の様なことがあると言われています。

  1. 自分に自信が持てない、自己評価が異常に低い
  2. 人を信じられない、人が怖い
  3. 思っていることを人に伝えることが出来ない
  4. 自分を大切にできない
  5. 見捨てられ不安が強い
  6. 孤独、一人になりたがる

ただでさえ生きづらいのに、薬物を使って体も心もボロボロになり、経済的に破綻し、家族関係や友人・恋人との関係も破壊してゆくのは珍しいことではありません。

家族関係・家庭環境の悪化

薬物依存症は家族を巻き込んでいきます。薬物を使いながらの家庭生活には安心、安定が欠け、育児放棄や虐待を受ける子どもも中にはいます。薬物依存症の配偶者に対して愛情が欠け離婚に至り、子どもも苦しむことは多くみられます。親が子どもの生活を見ることができず、施設に入れられる子どももいます。家庭の崩壊は数多く見られます。これらのことは薬物依存症でなくてもたまに聞く話ではあるのですが、私はこう思います。愛情が持てないなら離婚するのは正常な選択。子供が親と一緒にいる方が幸せとは限らないし、状況的に施設に預けるのはやむを得ない選択。薬物を使った本人も生きていかなければなりません。シラフにもどって罪悪感に駆られても覆水盆に返らずですし、自分を責めるということは自分を痛めつけることですから、それをしていたら回復が出来ない。もし自分のしたことの償いをしようとするなら、一旦過去は棚上げして自分の出来る範囲でやることやって、時期が来たら傷つけた人に謝るしかないのかなぁ。許す許さないとか関係が修復できるか否かは相手の決める事でもあるし、自分が頑張ったからといって報われるとも限らないでしょうね。社会で生きていくために必要なものをほとんど破壊してきた人が色々なものを取り戻していくのは、極めて大変なことだろうと想像します。